ソラニン新装版 29話を読んで
*ネタバレ注意
29話を読み、浅野いにおのあとがきまで読み終わった時、
やっぱりこれはソラニンだなぁと感じれた。
でもこの続編に対して色々な感想がtwitterには上がっていたし、ソラニンの続編を消化できないでいる人も多くいるんだと思う。
赤信を無視してまで向こう側に行こうとした種田の死を受け入れて、彼の思いを自分の中に留めておく為にも、ソラニンを引き継いで演奏したはずの芽衣子は既に結婚してて、子供までできているなんて、、、
自分も最初、漫画の部分だけ読んだ時には、
「えっ、芽衣子結婚してんの、、、、」
「種田のことは忘れちゃったの、、種田ぁ、、、」
「芽衣子がソラニンを演奏する場面なんて涙が出んのになんで、、、」
って正直芽衣子が結婚してることには動揺した、芽衣子が種田のことを忘れちゃったんじゃないかって。
読み終わった後は非常にモヤモヤした気持ちだったんだけれど、あとがきを読んで納得し、ソラニンらしさを感じることができた気がする。
『新装版のために追加した29話を書き終えた時、ネーム中も作画中も種田のことをほとんど思い出さなかったことに気づいて、人が一人いなくなるというのはそういうことなんだよなぁとしみじみしてしまった。プライドが高くて気取り屋の種田を僕は連載当時からあまり好きではなかったのだけれど、初めて少し同情した。』
ソラニン新装版 あとがきより
自分はこのあとがきを読んでハッとした。
人が死ぬとだんだん周りの人からはその人の記憶が薄れていって、忘れられていってしまうんだなぁと。
そして記憶が薄れ、忘れていくことで、その人の死を徐々に乗り越えていく。
芽衣子には違う彼氏がいて、その彼氏とはなんだかんだありながらうまくやっている。
それは、芽衣子が種田の死を乗り越えて前に進んでいる証なんじゃないか。
でも時よりソラニンのあのメロディが蘇ってきて、ふと種田の事を思い出す。
ソラニン29話には、くさい恋愛ドラマのように一人の人を愛しつづけて生涯を終える、そんな理想のような話ではなく、僕たちの世界のリアルが描かれていると思う。
実際の世界ではみんな、近しい人、愛していた人の死を乗り越えて生活している訳で、
多分に漏れず芽衣子も種田の死を乗り越えて、どうにかやっている。
この僕たちのリアルが描かれているのがソラニンらしいな、としみじみあとがきを読んで思ってしまった。
種田もさよなら、そうするよと思ってるんじゃないかな。